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コーチングコラム
Column

上司の「基準」、部下の「基準」

2015.1.21

「○○はこうあるべきだ」

私たちは、人それぞれ、例外なく「基準」を持っています。

特に、上司は部下に対してなんらかの「基準」をあてはめ、
その基準に部下を近づけようと試みます。

部下育成とは、部下の「基準」を上げることだと言ってもいいでしょう。


ある企業の営業部で、25店舗の店長に対する多面評価を実施しました。

その中の設問のひとつに、次のような、
部下が上司のコミュニケーションを評価する質問があります。

「店長は、私を育成する意志を持っている」

この設問に対する部下の平均点が、10点満点の店舗が二つありました。

その二つの店舗の一つ、店舗Aでは、
毎年複数人の離職者が出ています。

一方、もう一つの店舗Bは社員の定着率が高く、
ここ数年一人の離職者も出ていません。

店舗A、店舗B、それぞれのスタッフに
店長の日々の関わりに関するインタビューを行いました。

「ミスをすると徹底的に追求される」
「あまり褒めてくれない。やって当たり前という雰囲気」
「言い方がきつい」

などなど、どちらの店長も、
基本的に部下に対して、とても、「厳しい」。

それぞれの店長側にもインタビューをすると、共通した回答がでてきます。

「その程度のことは言われなくてもわかると思うし、自分で気づいて対応できないと困る」
「何回も言っているのに何でできないの?としょっちゅう思うし、実際そう伝えている」
「 だめはだめ、と言ってあげることが部下のため」

二人とも、部下育成に対する意識が非常に高く、
回答にも、部下に対する厳しさがにじみ出ています。

ところがなぜそうしているのか、その厳しさの理由を聞いたところ
二人の答えには、大きな違いがありました。

A店長

「自分がやれることは他の人もやれると思っています。
 自分は劣等生でしたが、努力してここまできました。
 今の部下は当時の僕から見たら、全員優秀。

 だから、できないわけがない。
 できないのは、やろうという意志がないからだと思うんですよ。
 だからこそ、部下の成長のために、その都度、厳しく指導しているんです」

B店長

「僕は人それぞれだと思っているので、一人ひとりの部下が
 その人なりに最高に輝いて能力を発揮しているところをイメージして、
 それに近づけたいと思っているんです。

 ですから、僕がその部下に対してどうなって欲しいと思っているかということを話しますし、
 その部下がどうなりたいのかということも良く聞くようにしています。
 その人が『なりたい』と思っているゴールを握ることができて、愛情があれば、
 少しはきついことを言っても大丈夫だと思ってます」

さらに、それぞれの店舗のスタッフは、
店長の指導について次のように答えています。

店舗Aのスタッフ
「ネガティブなことを言うと怒られるので、相談できない」
「ダメなことは自分でもわかっているのだから何回も言わないで欲しい」
「もぐらたたきのように、細かいことまで怒られる」

店舗Bのスタッフ
「自分のためにきついことも言ってくれる」
「いつでも相談に乗ってくれる」
「厳しいことを言われるが店長は自分を成長させてくれる」

同じ「厳しい」指導を受けたとしても、
それが自分のゴールに向かっての支援だと感じられることもある。

逆に、上司の基準を自分自身のゴールとして認識できないがために、
厳しい指導に対して、もぐらたたきのように感じてしまうこともある。

自分の「基準」に、部下を引き上げようとするA店長。
相手の「基準」に、相手を到達させようとするB店長。

上司の「基準」と部下の「基準」。

その差は、「誰」の「基準」を扱っているのかにあるのかもしれません。

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

桜井一紀
このコラムはCoach's VIEW 「上司の「基準」、部下の「基準」」からの転載です。

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