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受講生の声

斎藤 拓朗さん

徒弟制度的指導からコーチングへ

斎藤 拓朗 さん

公立大学法人福島県立医科大学
会津医療センター外科学講座 福島県立医科大学臓器再生外科学(兼務)
(一財)生涯学習開発財団認定コーチ
(2013年9月受講開始)

※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。

医学教育において、コーチングの実践をされてきた斎藤拓朗医師。これまでの指導との違いや、成果、また、これからのどのようにコーチングを活かしていけるのか、今後の可能性について話を伺った。

徒弟制度的指導からコーチングへ

以前は、「若い人たちが気持ちよく積極的に参加できる職場にしたい」という思いで指導していたものの、私自分が育った外科の徒弟制度的な「型にはめる」「こうあるべき」といった指導を続けており、結果的に、学生や若手医師が自分事として取り組めていない、受け身な状態が続き困っていました。そんな中、ある研究会の懇親会で、「がんばってね」ではなく「がんばってるね」と、少し表現を変えて伝えるだけで、若い人たちの反応が違うことを体験しました。それが初めてのコーチングとの出会いでした。さらにコーチングについて調べてみると、相手が「主体的に取り組むことを支援すること」だと知り、これであれば、自分が思っている指導ができるのではと思い、本格的に学ぼうと思いました。

コーチングの実践を通じて感じたこと

コーチングの実践を通じて、私は「相手の話をよく聞く」「相手の目標達成のための質問を心がける」「刺激と反応の間を認識する」、「未完了をなくす」などを継続的に意識するようになりました。すると、周囲から意見や提案を話してもらえるようになり、自分も周りも気分良く物事に取り組めていると感じられるようになってきました。

コーチング活用の手ごたえ

研修医と外科で共に過ごす時間は限られています。短い期間でもこまめにコミュニケーションをとる手段としてコーチングを導入しました。「将来どんな医師になりたいか?」とビジョンを聞き、それに向けての外科としての目標を自分で決めるように促し、定期的に時間を取ってコーチングをしました。研修期間の終わりの自己評価アンケートでは、目標到達度は平均80%程度となり、積極性や充実感をもって研修に取り組むように変化してきました。

うまくいったので、研修医や学生以外にも、薬剤部長へコーチングをした結果、薬剤部長もスタッフにコーチングを始め、服薬指導の実施率向上などの成果がでています。

今コーチングの有用性の検証

良い医療を提供するためには病院で働く多職種がお互いの立場を尊重しながらビジョンを共有し、目標について話し合うことが大切だと思います。医学教育においても、学生や研修医が、主体的に研修に取り組めるか否かで学習効果は大きく変わります。医療従事者がコーチングを学び実践をすることは、さまざまな現場での取り組みを促すための土台作りができると思います。今後は、さらにコーチングによる成果を測定し、医療・教育における有用性を明らかにしていきたいと思っています。


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