夢を聞く

2017.8.21

先日、地方銀行で融資の営業を担当しているNさんからお聞きした話が印象的だったので、ご紹介したいと思います。

「私にとって営業の数字を上げることは、それほど難しいことではありません」と話すNさんは、40代の女性。コミュニケーションについて専門のトレーニングを受け、「聞く」「質問する」といった基本的なスキルを身に付けてきました。学び始めてから2年間、営業担当地域で成績トップの座を守り続けているといいます。

Nさんが、身につけたスキルをどう活かし、どのような成果を上げているのかを聞きました。

筆者:
コミュニケーションを学ぶ前と後では、どのような違いがありますか?

Nさん:
以前は、数字を上げることばかり考えていて、ストレスが高かったですね。今は、数字のプレッシャーを感じることはほとんどありません。毎月、楽してトップを取っているという感じです。

筆者:
具体的に何が違うのですか?

Nさん:
ひとことで言えば、相手の話を聞けるようになりました。私の仕事は、担当地域に出向いて融資を取ることです。お客様のほとんどは中小企業の社長。以前は、自分の担当している商品を売ることで頭がいっぱいでした。いかにして自分が話し始めるかばかり考えてましたから、相手の話なんかぜんぜん聞いていないわけです。 今は、社長さんの夢を聞いている。毎日、社長さんに会って、その人の夢を聞く。話している社長さんもとても楽しそうですし、聞いている自分も楽しい。夢を聞いているだけで、営業の数字が上がります。

そんなに簡単にいくとは思えません。私は思わず聞きました。

筆者:
本当ですか? 夢を聞くだけで、なぜ、数字が上がるのですか?

Nさん:
私の担当は住宅ローンなのですが、銀行には人生のあらゆる場面に対する商品があります。教育ローンもあるし、自動車ローン、個人年金のローンもある。たくさんの社長の夢を聞いていると、どこかでそれが当てはまる。だから自然と数字が上がっていきます。実際にこの2年間、コンスタントに数字が上がり続けているんです。

筆者:
なるほど、それは素晴らしいですね。コミュニケーションのトレーニングが、どのように機能したのか教えてください。

Nさん:
聞くスキルを身につけられたこと。何よりも、多くの人とのロールプレイを行ったことで、徐々に人の話を聞けるようになったのだと思います。

現在、マネジメントだけではなく、教育や医療など、さまざまな場面でコミュニケーション能力の重要性が問われています。コミュニケーション能力が仕事の出来を左右するともよいでしょう。そして、コミュニケーション能力を向上させるもっとも効果的な方法は、継続して専門のトレーニングを積むことです。

桜井一紀 「夢を聞く」 WEEKLY GLOBAL COACH


ページトップへ