ご自身や患者様の具体的な変化は?
オンラインクラスに参加して最初に驚いたのは、社会人として参加している方々の言葉使いがきれいだったことです。
通常ではなかなか接点のない他の職業の方とつながったときに「医師として自分のコミュニケーションの取り方は横柄だったかもしれない」と気づかされました。
クラスの内容はどれも役に立つことばかりでしたが、一番印象に残っているのは「アカウンタビリティ」(※)のクラスです。私は患者さんに「何とかしてあげよう」とは思っていましたが、相手の可能性を信じて、自ら伸びていくようアカウンタビリティを求めてないことに気付きました。それからは患者さんの自主的な発言を求めるために、落ち着いて最後まで話を聴く、答えを急がない、本質は何だろうと思って聴くようになりました。すると患者さんも大きく変わりました。
以前は糖尿病数値データが悪くなると「すみません」と謝るだけだった患者さんが、今では「今回悪くなったけど、次はこうしてみます」と次にむけての自分の行動を自主的に話すようになりました。当センターでは千数百名の糖尿病患者を診ていますが、糖尿病検査指標ヘモグロビンA1Cの数値が平均0.5%下がりました。これは大きな改善と言えます。患者さんそれぞれが「運動増やす」「食事を計る」「血糖値を計る」「薬の飲み忘れない」といった一人一人違った問題に自ら取り組むようになったことで、糖尿病コントロールを上手にできるようになった結果です。
※ 「主体的に自ら進んで仕事や事業の責任を引き受けていく意識」や「一人ひとりが、自分の責任において考え、行動を起こす意識」のこと