自分が「答えを持っていない」ことはコーチとしての宝になる
以前は、自分が欲しい答えに行きつくように、相手に質問をすることが多かったです。自分が分からないことを話題にすることは、自分の知識不足を露わにするようで、信頼されないのではと怖かったからです。
しかし、1on1コーチングの中で、相手について分からないことや知らないことがあることは、全て質問になると気づくことができました。今では、自分が分からないことがあっても抵抗や恐怖心はありません。全て相手を知るための質問にできるので、コーチにとって大きな宝だと捉えられるようになっています。
たとえば先日担当組織のリーダーから、離れた場所で勤務する社員について、パフォーマンスのフィードバックを行うのが難しいため、直接会って話をすることができる時まで延期したいという相談がありました。そこで延期するかどうかについてすぐアドバイスするのではなく、「パフォーマンスをフィードバックするうえで、何が一番難しいのか?」と聞いてみました。すると、直接会って話をできないことが難しいのではなく、もともと期待値を明確に合意していなかったことが問題であるとわかりました。リーダーと話をしていくと、直接会わなくても期待値を明確にすることは可能であることをリーダーが気づきました。
リーダーからの相談について、わたしが既に持っている回答案をすぐ提示することは簡単ですし、効率的なこともあります。ですが、「なぜこのリーダーは相談してきたのだろう?」と好奇心を持ってみるようにしています。またリーダーの持つ課題は多岐にわたり、リーダーも私も回答を持っているとは限りません。そのうえでコーチとして価値を提供するため、「何が一番の課題か?」「ゴールのイメージは?」「既にあなたが持っているリソースがあるとしたら何があるか?」等、リーダーの視点を変える問いを投げかけます。
答えを持っていなければ質問をすればよい。質問をすることで、リーダーの中で新たな問いが生まれ、ゴールのイメージが明確になったり、既にあるリソースを認識して自信を持ったりと様々な気づきが生まれると実感しています。