安心して任せられるチームに
私が選手だった頃の練習は張り詰めた空気で、「笑顔」「笑い」「会話」が暗黙の了解でタブー。監督やコーチとの会話は「はい」と「いいえ」、「すみません」だけでした。
私が監督になり少しづつコーチングを取り入れてからは「笑顔」がダメなものではない空気になり、監督と会話をしてもいいんだ、と思ってもらえるようになりました。その時から、選手同士の会話の質が上がったように感じます。
ある時、私が出張に行って練習に参加できないことがありました。その日は、「キャプテンを中心にこの練習をやっておいて」と、練習メニューをキャプテンに渡して出張に行きました。選手にコーチングをしている成果が出たのか、出張が終わった後に練習の録画を見たところ、私がいる時よりハードなメニューをエネルギーを持って一生懸命練習していました。選手なりにいろいろなことを考えて練習してくれていることがわかりました。
事前に出張ということを伝えられず、練習メニューをキャプテンに渡せないときもありました。キャプテンに電話をし、練習を見ることができないと伝えると、「練習メニューは何ですか?」と聞かれると思っていたのですが、「さっきマネージャーから聞いたので、練習は全部考えました」と言われ、その言葉を聞いた瞬間、胸が一杯になり、必死で涙をこらえなければなりませんでした。選手たちには本当に助けられたと思っています。
コーチングを練習に取り入れた一番の成果は、チームがプレーオフに進出したことです。ずっと最下位で弱いチームだったのですが、目標としていたプレーオフに出場できました。コーチングを通して、選手同士で話す時間が増えたということが大きいと思います。