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コミュニケーションが組織を動かす

コミュニケーションは、会社組織の中にあって「価値を生み出すもの」としてではなく、「空気のように自然で、あたりまえのもの」と誤解されています。

しかし一方で、社内のコミュニケーションに着目し、それを改善することで、飛躍的に業績を伸ばしたり、リスクを減らしている企業が生まれています。

離職率の高い組織で、管理職全員が「聞く能力」を上げるためのトレーニングを受け、離職率を5分の1に減らすことに成功した企業があります。

また、2時間の会議で1時間55分話し続ける経営者が、トレーニングを受けて、発言時間を30分に制限し、他の取締役の発言を促すようになり、それが大きく業績に影響したという自動車のディーラーもあります。

ある企業では、人事評価システムを導入したものの、上司の面談する能力が低いために、社員のモチベーションが下がるという問題が起こりました。そこで上司の面談のスキルを上げるためのトレーニングを導入し、部下とどのようにコミュニケーションをつくりだすかについて検討しました。

たとえば、部下の自己評価と、上司の部下に対する評価を比較し、その違いについて、部下が思っていることを聞き、上司も伝える。そうすることで、次の目標が見えてきたり、目標に対する「同意」をもつことができるようになりました。

人事評価システムとは、システムそのもので部下を評価するわけではなく、評価システムというツールを上司と部下の間に置いて、お互いにコミュニケーションを交わし、そこに「同意事項」を重ねることで評価するために使うのです。

組織は、くもの巣のように張り巡らされたコミュニケーションの中で動いています。コミュニケーションを交わすことで、私たちはものごとを認識し、行動を選択しています。コミュニケーションが無ければ、組織は動きません。また、組織内のコミュニケーションの質が低ければ、品質、モラル、モチベーション、チームワーク、顧客に対するサービスにも影響が出るでしょう。

コミュニケーションは、個人と組織に確実に価値をもたらすものです。少なくとも、単なる情報交換などではありません。コミュニケーションについての理解を深め、解釈を広げたり、見直したりする機会を失うと、知らない間に資源の無駄遣いが起こってしまうのです。

出典:伊藤守「部長講座」日経産業新聞

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