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会議でのコミュニケーション

会議で発言するとき、「私」から「あなたたち」へ向けてのコミュニケーションは避けたいものです。「私」と「あなたたち」という関係は、組織においては「個人」と「組織」という関係となり、その発言は第三者的なものになるからです。

組織における第三者的な発言は、不審を買うもとです。なぜなら組織は、利己的な発言や行動に敏感に反応するからです。特に管理職は、組織における個人の言動、行動、態度はすべて、組織全体の利益に向けられていなければならないと考えています。したがって、会議で発言するときは、「私」から「あなた」や「あなたたち」に向けるのではなく、「私たちのひとり」から「私たちのひとり」に向けて発せられる必要があるのです。同じ輪の中にいることを前提として発言するのです。

コミュニケーションで注意しなければならないのは、コミュニケーションを交わして、相手にどのような影響を与え、同時に、自分がどのような影響を受けているかに気づいていることです。

私たちが簡単に陥る罠に、関係の二極化があります。コミュニケーションは、基本的に同意に向けてキャッチボールが繰り返されるものですが、言葉のうえでは同意がとれているにもかかわらず、気持ちのうえでは十分に満足しないことがあります。それは、コミュニケーションを交わしながら、無意識にどちら が上か下か、勝っているか負けているか、正しいか間違っているか、損か得か、知っているか知らないか、といった二極化に陥っていることを意味します。

どちらかが二極化に陥り、その決着をつけようとすることへのこだわりが抜けないままでいると、言葉のうえでの同意はあっても不完全さが残り、十分な満足は得られません。

しかし、組織における議論では、組織にとってどれが最善で役に立つ考えかを選ばなければなりません。そのときは、常に「私たちのひとり」として、「私たちにとっての利益」を前提に議論する必要があるのです。また、相手が上司、部下にかかわらず、相手の意見を尊重する姿勢を示すことが大切です

伊藤守「部長講座」日経産業新聞

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